こんにちは「元幼稚園のせんせい」ゆっこです。
子どもがいけないことをしたとき、”怒るのはよくないのではないか”という思いから優しく言ってしまう。その結果何も伝わらずクラスは荒れ放題…。
また、”とにかくいけないことはいけない!”という教育的な思いからいつも怒ってしまう。
こんな状況、保育をしていたら誰もが通る道です。
近年、いろんな本に「叱らずに育てるのがいい」「叱らないと大人になったら大変だ」などと書かれているし、先生が子どもたちをどう叱っているかは保護者にとってもまさにホットトピック。叱り方、ますますわからなくなりますよね。
「叱る」というのはとても理性的で難しいことです。そこで今日お伝えするのは、私が幼稚園のせんせいをしていたころ、いろんな子と関わる中で確立した「子どもの叱り方」です。ただの方法論ではありません。これを実践すれば、「叱り方がわからない」ことはなくなります。
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どんなことで叱れば良いのか
子どもがどんなことをしたとき、叱ればいいのでしょうか?それは、「人や自分を傷つけたとき」です。
たとえば
・人を叩く、「バカ!嫌い!」と言う
→人を傷つける行為
・道路へ飛び出す、歯磨きをくわえて歩く
→自分を傷つける行為
人や自分が、痛い、悲しい、寂しい、不安、辛い、怖い、という感情になってしまうorしてしまうかもしれない行為をしたときです。
[memo title=”MEMO”]これ以外のことで叱るのはNG
失敗を叱る
性格を叱る など
このようなことを叱ってしまうと「自分はダメなんだ」と思い、今後の人格形成をうまく育めなくなってしまいます。[/memo]
子どもの叱り方4つのステップ
叱り方①まず行為をやめさせる
子どもがいけないことをして叱らなければいけない場面がきたら、まずその行為を強制的にやめさせることが必要です。子どもは何かをしながら何かをする。ことがとても苦手です。何かの行為に夢中になっているときに叱られても、言葉をよく理解できません。なので子どもからしたら「よくわからないけどおこってる!!」という印象しか残らないんです。こうなっては伝えたいことはきちんと伝わらなくなってしまいますよね。
まずはいけない行為をやめさせてから、しっかり伝える体制づくりをします。
[memo title=”MEMO”]2歳頃の子どもは、この時点でギャン泣きの可能性はかなり高いです!泣。どうにもならないくらいの泣きが始まったら、気が済むまで泣いてもらうのが先決。なぜこれほどまでに泣くのかは、誰かに自分の行為を邪魔されるのが嫌だったため怒って泣いています。でも反対に自主性がでてきたと言えます。自主性を邪魔された怒りが落ち着くまで、見守りながら待ってあげましょう。[/memo]
叱り方②「いけないよ」と伝える
次に、子どもの目線まで腰を落とし目を見て
「これはいけないよ」ときちんと言います。
これはわりとしっかりめに(子によってはきつめに)言わないと伝わらないです。そしてもちろん、笑いながらや優しくやんわり、というのも伝わりません。相手が子どもだったとしても人に「いけません」と伝えるのですから、毅然とした態度と、それなりの覚悟が必要です。
叱り方③なぜいけないのかを具体的に説明する
「いけない」と叱るだけでは子どもは「怒られて悲しい」と思うだけです。なぜいけないのかをわかりやすく、できるだけ具体的に説明します。そうすると”どんなことが”いけなかったのかを理解することができるんです。毎回このステップを必ず踏んでいくことで、同じことで叱られることは減っていきます。
④見守り&フォローを忘れずに
叱ったあと、叱りっぱなしになってしまうのは子どもにとってとても悲しいことです。ケンカしたお友達と仲直りできなかった…みたいなかんじで、いつまでも悲しい気持ちがダラダラと残ってしまい気持ちの切り替えもうまくいきません。叱ったあと、次第に落ち着く方向へ気持ちが変化していきます。遠くからでも様子を見守り、子どもの気持ちの移り変わりを観察してください。泣き止み、少し落ち着いてきた頃、話がわかったかな?と思えた頃、「わかればいいんだよ。よしよし」となぐさめてあげます。できれば手を繋いであげたり、だっこしてあげてください。こうすることで、子どもだけではなく、先生の気持ちもゆるやかになって、ちゃんと着地できます。このように1回1回きちんと着地させることで、見通しが立ち、次の叱るべき場面がきてもその着地に向かっていくことができます。子どもも先生も感情の落ち着きが早くなっていくという利点もあります。
まとめ:叱られた経験は人への信頼を育む
ここまでの流れが私が幼稚園のせんせい時代に確立した「子どもの叱り方」です。”子どもをどう叱れば良いか”という議題においてさまざまな考えが存在しますが、私がたくさんの子と向き合い何百例もの実践から、子どもを正しく導き、信頼関係を育める最高のやり方です。叱り方がわからない方にぜひ実践していただき、子どもと先生の絆も今よりももっと深いものにしていってほしいと願っています。
近年いろんな育児書に「叱らずに育てるのがいい」「叱ると自己肯定感を育めない」などと書かれていますが、叱らずに済むのならそれが一番いいです。でも実際は難しく、子どもは教えてあげないとなにがいけないのかまったくわからないまま大きくなっていくことになってしまいます。そして、教えていても子どもは必ず失敗をします。でも、失敗をするからこそ成長していくんです。ですので、子どもと正面から向き合う限り、子どもを叱らないことなんてないと私は思っています。そして、悪い行為を叱られずにほっておかれるより、きちんと叱られた経験が親、先生、そして人への信頼感も育むとも言われています。叱る、という行為が時には必要になるときもあるのです。
「子どもの叱り方」、ぜひ実践してみてくださいね。